小学生の頃、メロンといえばプリンスメロンでした。
編み目のあるメロンは漫画の世界のもの、
表面がつるつるのプリンスメロンこそ、
めったに食べられない憧れの存在だったのです。
初夏になるとスーパーの入り口付近に並ぶプリンスメロン、
魅惑の甘い香りに吸い寄せられて、私はじぃーっとメロンを見つめます。
買って欲しくて、母にくっついてお買い物に行っても、
そう簡単には買ってもらえませんでした。
その後、父の日か母の日のプレゼントと称して、姉とお小遣いを出し合い
(うす緑や黄色の)プリンスメロンを買いました。
姉の指示で、夕飯までばれないよう
机の下の大きな引き出しに入れるのですが
気になって仕方ありません。
スペクトルマンのゴリとラーのシールが貼ってある
引き出しを静かに開け、何度も甘い匂いを嗅ぎながら
うっとりしたものです。
あれから40年。
編み目のメロンもお手頃価格で買えるようになりました。
そんな時、つくばの産直で見つけた懐かしのメロン!
私は黄色いのもプリンスメロンと思っていたのですが、
正しくはキンショーメロンというのだそうです。
「冷蔵庫で冷やしてすぐに食べてね」と実家と姉の家へ送りました。
「懐かしい味だね、美味しいね」そんな声を期待して、
私も一口食べてみます・・ガリガリガリ!
慌てて実家へ電話すると
「あれ、硬くてね、歯が立たないからお父さん一口も食べなくて、
お母さん無理して一切れ食べたけど・・ちょっと早すぎたねぇ。」
一番大事な食べ頃を間違えました。ガッカリ
気を取り直して残りのメロンを食べると、
やさしい香りと自然な甘さのキンショーメロンはやっぱり美味しい!!
机の引き出しに大事に入れられたメロンと、ゴリとラーの顔が浮かんでくるのでした。